前回の記事で日本人の給与は男性正規社員とそれ以外とで大きな格差があること。
更に正規社員と非正規社員との間には、文字通り絶望的なまでの格差があり、これが日本社会の貧困化の一つの要因になっていることを説明しました。
そしてこの貧困化が進むと治安の悪化につながるのは当たり前のことで、ここ数年間を振り返っても、2016年神奈川県相模原市障害施設職員の大量殺人事件、2017年に発覚した神奈川県座間市の大量殺人事件、2019年京アニ放火殺人事件、2021年小田急線車内で無差別殺人を図った事件、2021年大阪北新地ビル放火殺人事件、2022年の安倍元首相殺人事件など、いわゆる生活的に行き詰まり、半ば捨バチになって巻き起こしたとしか考えられないような事件が続発しています。
日本人が長年放置した非正規社員(派遣社員)といったいわば奴隷労働のような雇用制度は、日本の貧困問題を加速し、年金や生活保護といった従来の制度を不安定化させ、更に治安までも悪化させて行く最悪の結果につながって行こうとしているのです。
では、日本人の賃金階層別の比率を確認しておきましょう。
前回の記事に記載した通り、2020年の日本人(民間)の平均年収は4,331千円で、単純に12ヶ月で割ると、1ヶ月約36万円となります。
しかしその実態は、年収400万円以下の方が55.1%で、更に年収200万円以下の方が2割以上(22.2%)存在するのが実態なのです。
とはいえいわゆる平均年収433万円を超える年収400〜800万円の方が35.7%いますので、あながち日本人全員が貧困化したというのは言い過ぎかもしれませんが、一般的に比較的生活が楽と言われる年収800万円以上の方が9.2%しかいませんので、昔のようにお父さんが外で働き、お母さんは専業主婦といった厚生省のモデルケースのような家庭は激減していると想定され、昨今の少子化とは無関係では無いでしょう。
(元々、厚生省のモデルケースを前提に社会インフラが出来上がっていたのに、急にお母さんも働けと言われても、子供を預ける施設などある訳がありませんので)
ちなみに国税庁の民間給与実態統計には年齢別給与額の一覧も掲載されています。
さっそく以下に引用してみましょう。
このグラフを見る限り、20歳から59歳まで綺麗な年功序列型賃金になっていますね。
この年功序列型賃金は日本特有のものらしく、今では多くの方が諸悪の根源のように言われていますが、おそらく大きく是正されていくまでまだ何年も(もしかしたら何十年も)かかるような気がします。
非正規雇用やロスジェネ世代の問題にしても二十年以上前からいずれ大課題になると指摘されており、安倍元首相が2015年には「非正規雇用で働く方の待遇改善は待ったなしの重要課題」と大騒ぎしていましたが、2022年現在、未だに大きな格差が横たわっていることは前回ご指摘した通りです。
しかし革命や暴力的な変化を極端に嫌う日本社会では、問題の本質があったとしても早々に是正されることは期待できないでしょう。
したがって、声を大にして言いますが、
今後も日本人の所得格差は拡大し続ける!
そのことを前提に、お金、年金、投資、副業、転職など、自分の身を守るためにめに真剣に考えて行くべきだろと思います。
過去の日本はお金を貯めるといえば銀行預金一択、老後のことは退職金と年金でなんとかなる、とりあえず大学さえ卒業すれば給料は年々上がっていくといった、いわば何も考えなくてもいい平和ボケの時代でしたが、おそらく二十年以上前から、多くのことを自分自身で判断しなければならない「自己責任」の時代に突入していたのです。