これはあるいは勤労世帯の方ほぼ全員の悩みかもしれませんが、特に中高年の方にとって、お金についての悩みが絶えない方は少なくないでしょう。
これからのことを考えただけでも、
- 役職定年で収入減が想定される
- 雇用延長になると更に収入が下がる
- 今後更なるインフレが想定される
- 住宅ローンはまだ何年も残っている
- 子供の学費はまだまだ必要
- 自分の老後の蓄えは全然足りない
これらのことを口にする中高年の方は非常に多いと思います。
最近はよく「日本の給料は30年間上昇していない」と言われ、先進国の中でも後ろから数えた方がいいくらいの低賃金だと指摘されてますが、実際のところみんなどれくらいの給料をもらっているのでしょうか?
過去の統計資料を調べてみると、国税庁から「民間給与実態統計」といった資料が公表されていました。
今のところ令和2年度版(2020年度版)が最新のようで、官庁独特の難解な用語が並び読みにくい資料ですが、一部抜粋してご説明したいと思います。
まず、結論から先に書くと、2020年の日本人(民間)の平均年収は4,331千円で、単純に12ヶ月で割ると、1ヶ月約36万円となります。
男女の構成比で見ると男性5,332千円、女性2,926千円と、男性だけを見るとそれほど低賃金という印象もありませんね。
(男女の賃金格差が大きい点はかなり課題があるとは思いますが…)
しかし、少し詳細に見て行くとかなり違った風景が見えてきます。
とりあえず以下の表をご覧ください。
この表で黄色のマーカーの箇所が男女の平均賃金の推移、オレンジのマーカーの箇所が全体の平均賃金の推移を表しています。
しかし格差が大きいのは薄いブルーのマーカーの箇所、近年多くの方が指摘する非正規社員の賃金なのは明らかですね。
【賃金平均(2020年)】
- 男性正規社員 :5,501千円
- 女性正規社員 :3,837千円
- 男性非正規社員:2,276千円
- 女性非正規社員:1,532千円
この格差を見る限り、平均賃金4,331千円というのもかなり不自然な数字に思えてきます。
しかしこの非正規社員といった区分が、ごく例外的な雇用形態、例えば60歳で定年退職を迎えたたあと、とりあえず週に3日だけ働きたいとか、産後の2年間だけ1日6時間の時短勤務で働きたいというケースなら分からないでもありません。
フレキシブルな勤務形態があることは、従業員にとってもマイナスではありませんので。
それではどれくらいの方が非正規として働いているのか?
今度は内閣府のホームページに掲載されているデータを引用させていただきましょう。
このグラフで明らかなように、2020年は男性の22.4%、女性の実に54.4%が非正規として働いていることが分かります。
上記のグラフには年齢別の非正規比率も記載されていますが、男女共に65歳以上の大半が非正規社員なのは理解できるとしても、他の年齢層でも決して無視できない比率の方が非正規で働いていて、「日本の給与は低賃金」といった指摘そのままの生活されていることが明確に示されているような気がします。
要するに現在の日本社会は、男性正規社員とそれ以外とで相当な格差がある。
更に、正規社員と非正規社員の格差は、絶望的なほど大きい。
このことはまず一つの基本的概念としてご理解いただければと思います。
少し長くなりました。続きは次回とさせていただきます。