何かを考えるときに、ゴールからの逆算が有効とはよく言われることですが、そもそも中高年のサラリーマンは、何について悩み、何について不安を感じているのか?
どんな不安を想定し、その不安解決(ゴール)のために今何をすべきか?
このことのヒントになるデータが、以下の調査報告書に記載されていました。
この調査は2020年8月21日から同年9月2日にかけて、20歳以上70歳未満の単身者2,500名を対象に実施されたアンケート調査の集計で、「老後の生活への心配」に関する調査では以下のような集計結果となっています。
このグラフの凡例が見にくいので2020年を例として補足すると、それほど心配していないが16.5%、多少心配であるが34.2%、非常に心配であるが49.3%。
要するに83.5%(34.2%+49.3%)の人が老後の生活に何らかの不安を抱えているといった、衝撃的な数字が記録されているのです。
しかもこの数字は多少の前後はあるにしても、2011年以降の10年間、ずっと同じ傾向が続いています。
こんなに老後のことばかり心配していると、みんなお金をつかうことを控えるようになるので、日本の経済が縮小していくのも当たり前だと思いますが、いったい何をそんなに心配しているのでしょうか?
その答えは次の調査結果に明確に表れていました。
ただ、全く別の資料を見ると、令和2年(2020年)第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果(内閣府)によると、日本の高齢者の63.6%は実際には経済的に困っていないといったデータもあります。
*出所: 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査
(日本調査対象:全国10地域・60歳以上・1,367人)
ちなみにこのデータは令和2年版資料といいながら、調査期間が令和3年(2021年)1月5日~1月 25日となっていますので、コロナの影響が調査結果に現れているのは当然のこと。
前回調査(平成27年版)ではあまり困っていないと困っていないの小計が77.5%でしたので、大雑把に言えば高齢者の7割以上はそれほど生活に困っていない。
20歳以上70歳未満の単身者2,500名を対象に実施されたアンケート調査のデータではおよそ8割の人が老後の生活に不安を感じている一方で、内閣府が実施した60歳以上1,367人の調査では7割以上の人がそれほど困っていない。
これはいったいどう考えるべきでしょうか?
もちろん正解など分かるはずもないとはいえ、いくつかの仮説の中でも比較的可能性が高そうなものを2つ記載してみます。
a. これまでの高齢者は比較的恵まれていたため困っていない人が多いが、これからの高齢者は少子高齢化による年金減少などが想定されるため、将来を不安視する人が多い
b. 老後のことは何が起こるか分からないし、退職金、年金がいくらもらえるかも分からず、現役世代の人の多くがか不安を感じているが、実際の老後は想定されるほどひどい物でもない
私はbの「老後のことはよく分からないから何となく不安」が正解のような気もしますが、このことを「老後お化け屋敷理論」で説明されている方もいます。
老後のお金がとにかく不安な人は、3つの“わからない”をこう解消する!
この「老後お化け屋敷理論」はファイナンシャルプランナーの深谷晶恵氏の記事や書籍でも見かける言葉ですが、他の方の書籍でも見かけたことがあり、最初に誰が言い出した言葉かは存じ上げていません。
しかし言い当てて妙な点は「お化け屋敷は次に何が出てくるか分からないから怖い」のと、「老後も次に何が出てくるか(次に何が起こるか)分からないから怖い」と全く同じことだというところで、学校でのファイナンシャル教育を全く実施していなかった日本で、不安を感じる人が多いのも当たり前かも知れません。
あれこれ不安がる前に、まずはお金や働き方についての知識を増やすことが重要。
その為にこのサイトが少しでも参考になれば幸いです。
“老後の不安はお化け屋敷か?” への1件のコメント
[…] 前回の「老後お化け屋敷理論について」の中でも軽く触れましたが、プチリッチな生活を送るためには欠かせないものが投資。 […]