今回は前回の続きとして、
「近頃のインフレがいずれハイパーインフレにまで拡大してしまうことがあるのか?」
このことについて私なりの見解をコメントして行きたいと思います。
なお、前回の記事を読んでいない方は、以下をご参照ください。
まず、ハイパーインフレになる可能性は低いといった、小幡績氏が2021年6月13日付けの以下の記事について考えてみます。
この記事の最大のポイントで、しかも多くの方が意外に感じることは、
「インフレがなぜ起こるのか21世紀の現在では、世界中の誰も分かっていない!」
まさにこのことではないかと思います。
こう言うと「そんなことはない!インフレの原因は経済学のテキストにも書かれている」と反論する方がいるかも知れませんが、小幡氏はれっきとした日本の経済学者。
記事の内容が外れるたびにブログなどで叩きまくる人もいるようですが、1992年東京大学経済学部首席卒業後、大蔵省(現在の財務省)に入省された正統派。
1999年に大蔵省を退職した後は、2001年ハーバード大学で経済学博士を取得していますし、帰国後は一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授をされていて、経済学のことを知らないどころか、むしろ長年教えている立場。
上記記事の中にも、一般的にはインフレは以下3パターンによって発生すると言われていて、現在の米国の急速なインフレは、①と②が同時に発生している可能性が高い、とも記載されています。
① 需要>供給(デマンドプル型)
*経済過熱で需要拡大によるインフレ
② 供給不足(コストプッシュ型)
*戦争、災害、人手不足等によるインフレ
③市中マネーの増加
*中央銀行の金融政策によるインフレ
ここまでを全て理解した上で、それでも、
「それは経済学者もエコノミストも投資家たちも、人類すべてが、インフレがどうやったら起きるのか、知らずにいるのだ」
とコメントされているのです。ここまで断言されている以上、ここは素直に信じるべきではないですかね?
「日本銀行の異常な金融緩和によって明らかになったことは、金融政策ではインフレは起こせないということだった」
これは一般的に言われている、「市中マネーの増加によってインフレが起こる」わけではないと主張されているようにも感じますね。
コロナで金をばら撒きすぎたからインフレが起こったと考え、欧米などでは金利を引き上げてなんとかインフレを食い止めようとしていますが、もし市中マネーの増加がインフレと無関係だとしたら、全くの空振りに終わるかも知れません。
その場合はこのまま長期間インフレが継続してしまうことになるのではないか?
しかしインフレの原因は世界中誰も分かっていないと主張しながら、一方では、
「ハイパーインフレはその原因が解明されている」
と言い切っています。そしてその原因は、
「その通貨を発行している中央銀行、あるいはそれを支えるその国家、その経済、それらいずれかの(あるいはすべての)信用が失われる(疑問を持たれる)こと」
とのことですが、この小幡氏の見解を正しいとするなら、以下のような思考パターンになりますかね?
・インフレ → 原因が解明されていない → 政策で食い止めることは難しい
・ハイパーインフレ → その国家の信用が失われると発生 → 信用を失わないようにすれば発生しない
ということでハイパーインフレになる可能性は、その原因が解明されているだけに発生の可能性はかなり低い。
しかしひとたび発生すると、人々の生活を一瞬に破壊してしまう。
それでは、万一の場合として、仮にハイパーインフレが起こりそうになった時、果たして資産を守る方法があるのか?
今回も少し長くなりましたので、この続きは次回とさせていただきます。