年金について考えてみる(前編)



今回は老後生活を支える「年金」について、私の思うところを書いてみたいと思います。

とりあえず参考記事として、以下のものを取り上げてみましょう。

「年金はもらえなくなる」「年金制度は崩壊する」と言う人が知るべき“年金の真実”

この記事は2022年3月8日にファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが投稿されたもので、彼女はファイナンシャルプランナーの最上位資格であるCFPを取得している方。

多数の本を書かれている方ですので、ご存知の読者も多いと思いますが、彼女のことをよく知るには以下の著書などはお勧めですね。

「なんとかなる」ではどうにもならない定年後のお金の教科書

まず冒頭にリンクを貼った記事の最初に書かれていることですが、巷間よく耳にする以下の言葉、

・少子高齢化で年金制度は崩壊する

・俺たちの頃は年金なんてもらえなくなる

これらの言葉について「それって全部誤解です。年金制度は崩壊しませんし、私たちの老後の暮らしを支える太い柱として頼れる存在であるのは紛れもない事実です」と断言されているのはさすがですね。

私もこの意見には全面的に賛成で、特に厚生年金を受給される予定の会社員や公務員の方は、年金制度が崩壊するといったバカな言葉を絶対に信じてはいけません。

65歳以降の生活を支える大きな柱は、例えあなたが金融資産を5,000万円以上準備できたとしても、厚生年金以上のものはあり得ない!

これは紛れもない真実だからです。

ちなみに厚生年金は幾らくらい貰えるのか?

厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を見ると、資料の8頁に令和2年度の老齢厚生年金の平均月額支給額は146,145円との記載があります。

令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省)

厚生年金保険は現役時代の給料の多寡によって金額が変わるので一概には言えませんが、65歳以降、仕事やアルバイトなどをしなくても毎月平均14万円以上支給される制度をバカにしたらバチが当たります。

もちろん日本の年金制度が完璧だという訳ではありませんが、例えばあなたが仮に独身だとして、65歳から年金を貰い始めた場合、運良く(運悪く?)100歳まで生き続けたとすると果たして幾らの年金を受け取るのか?

この場合に貰える年金総額を計算すると、

146,145×12ヶ月×35年=61,380,900

なんと、総額は6,000万円以上!

この6,000万円のお金を貰えるか貰えないかで、老後の生活が一変することは誰が考えても明らかだとは思いませんか?

「月14万円じゃ生活できない!」

もしかしたらそう言われる人がいるかも知れません。

なるほど、それは多くの方にとって、おそらく正しい意見だろうと思います。

しかし誰も年金だけで生活しろなんて言ってませんし、上記記事の中で山中伸枝さんも「老後の暮らしを支える太い柱」と言われているではありませんか。

何本もの柱で家を支えているのと同様、厚生年金保険といった大黒柱を中心に、貯金や株式などの金融資産を加えて、その総額を膨らませていく。

仮に「老後2,000万円」の提言通り2,000万円貯金できたとすると、

2,000万円÷12ヶ月÷35年=47,619

この数式通り、月額146,145円の年金に月額47,619円の貯金の取り崩しを足して、月額193,764円となります。

「月14万円じゃ生活できない!」と言われる方も、「月19万円あればなんとかなるかも!」という気になってきますよね。

もしかしたら「俺は2,000万円なんて絶対に貯まらない!」と言われる方がいるかも知れません。

それでも厚生年金の月14万円があればまず大丈夫です。

不足する金額が4〜5万円なら、バイトを探せば大抵何とかなるでしょう。

ところが厚生年金が無くて、毎月19万円以上稼げと言われると、65歳以上には相当キツイことになりますし、働くのは嫌だから貯金や投資だけで準備しようとすると、自力で最低8,000万円(厚生年金6,138万円+貯金2,000万円)貯めなくてはならないので考えただけでも大変なことですね。

やはり厚生年金の平均月14万円以上、仮に65歳から35年生きた場合は合計約6,000万円以上貰えるというのは、本当によくできた制度のように感じます。

そもそも厚生年金の最大の長所は、生きている限り永遠に貰えるという点でしょう。

例えば貯金の場合、仮に65歳で8,000万円を準備できたとしても、毎月20万円ずつ取り崩して遣っていくと、

8,000万円÷20万円÷12ヶ月=33.3

この式の通り、33年後(98歳)で完全にゼロになってしまいます。

また、多くの人が指摘していることですが、毎月少しずつ貯金が減っていくようになると、だんだん不安だけが増幅されていくため、いずれ積極性が失われていき、家から一歩も外に出たくない、いわゆる引きこもりのような状態になる人が多いとか。

ところが厚生年金は生きている限り、永遠に毎月14万円前後のお金が振り込まれ続けますので、精神衛生的にも非常に楽。

65歳以降の生活を支える大きな柱は、厚生年金保険以上のものはあり得ない!

私がこう断言するのもお分かり頂けるのではないかと思います。

今回も少し長くなってしまいましたので、この続きは次回とさせていただきます。

それではまたお会いしましょう。


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